定期検診を受ける人と受けない人の健康格差

歯科医院は「痛くなったら行く場所」と考えていませんか?

実は、定期検診を受けている人と受けていない人では、将来の歯の残存数や全身の健康状態に大きな差が生まれることが明らかになっています。80歳で20本以上の歯を残すことを目標とする「8020運動」の達成率を見ると、定期検診を受けている人とそうでない人では、その差は歴然としています。

日本では、乳幼児や学生には歯科健診が義務付けられていますが、成人以降の受診率は他国に比べて低いのが現状です。虫歯や歯周病などの口腔内の問題が放置されがちで、治療が遅れることで重症化するケースが多いことが課題となっています。

定期検診の重要性は、単に虫歯を早期発見するだけではありません。歯周病は糖尿病や心疾患、脳血管障害などの全身疾患の発症リスクを高めることが分かっており、口腔の健康を守ることが全身の健康維持にも直結するのです。

定期検診の適切な頻度とは?

「年に1回の検診で十分」と思っていませんか?

実は、歯科における定期検診は年に1回では少ないのです。お口の中の主な疾患である虫歯や歯周病があった場合、1年も放置してしまうと大きく進行しやすいからです。

3ヶ月が一つの基準となる理由

治療やクリーニングを行いお口の中の細菌を激減させることができても、ゼロにすることは難しいです。お口の中を綺麗に保ち、細菌の数が少ない状態を保つことができれば良いのですが、歯磨きが上手くできていなかったり、疲れが溜まるなどして体の免疫力が低下した場合、お口の中の細菌は増殖しやすくなります。

お口の中の細菌の数が元に戻る期間は3ヶ月前後になります。このことから、歯科医院に来院されてから3ヶ月の間に再度来院していただければ、お口の細菌の数が元に戻ったとしても、大きな問題にはなりにくいと言えます。そのため、歯科における定期検診は3ヶ月毎が1つの基準となります。

個人の状態に応じた頻度調整

ただし、喫煙や全身疾患(糖尿病など)、歯磨きの状態が悪い方は、虫歯や歯周病が進行しやすくなる可能性もあるので、3ヶ月よりも短い頻度で定期検診に来院していただくこともあります。逆に、お口の状態が継続して良好であれば定期検診の期間は3ヶ月より長くなることもあります。

一度も虫歯になったことのない方であっても最低でも半年に一回は歯科検診を受けていただきたいです。理由は、お口の中の環境は変化しやすいからです。病気や風邪、寝不足、ストレスなどでもお口の中の免疫力は体と共に低下しやすく、免疫力が低下すると細菌感染を引き起こしやすくなります。

定期検診で行われる具体的な内容

定期検診では何をするのでしょうか?

当院では、患者様お一人に最低30分の診療時間を設け、患者様のお困りの事や痛み、違和感をよくお話いただき、様々なアドバイスやご提案、ご理解をいただいてから治療を行うというインフォームド・コンセントを大切にしています。

問診とリスク評価

気になることはないかどうか、喫煙、全身疾患(糖尿病など)、服用しているお薬、妊娠しているかどうか、歯磨き習慣や生活習慣などについてお聞きします。これらのことをお聞きするのは、歯周病や虫歯へのリスクがどれくらいあるのか確認するためです。お薬についても、副作用で歯茎が腫れやすくなったり、口が乾きやすくなる薬もあるので確認が必要になります。

お口の中のチェック

基本的には、虫歯、歯茎の状態、磨き残しのチェックを行います。奥歯や歯と歯の間などの見えにくい所に虫歯ができてないかどうか、歯茎の炎症や出血がないかどうか、どの箇所に磨き残しが多いかなどを具体的に診させてもらいます。

むし歯は、歯の噛む面やつけ根だけでなく、歯と歯の間などの直接見えないところにもできやすいものです。また、一度つめて治療してあっても、そのわきの方に新たなむし歯ができることもあります。専門的な立場からむし歯をチェックしてもらいましょう。

歯周ポケットの測定

歯のまわりのポケット(歯周ポケット)が深いと、歯周病になります。プローブと呼ばれる針状の器具を歯と歯ぐきの間に挿入し、歯周ポケットの深さや歯肉の出血状態を確認します。

歯磨き指導

お口の中のチェック結果を基に、歯磨きのやり方を具体的にお伝えします。歯磨きが苦手な部分を知ることで、お口の中は改善しやすくなります。歯ブラシのあて方や、歯ブラシがあたりにくい部分には、患者さんに合った清掃補助用具(フロス・歯間ブラシ・タフトブラシなど)をおすすめすることもあります。

歯と歯ぐきの正しい磨き方は、その人の歯並びや歯磨きの癖などのため、一人ひとり違うものです。あなたに合った、歯ブラシ・フロス・歯間ブラシなどの正しい使い方を、歯医者さんに教わりましょう。

プロフェッショナルケア

お口の中に残っているプラークや、歯ブラシでは落とせない歯石や着色を超音波スケーラーやブラシで除去し、お口の中を綺麗にします。歯と歯茎の溝まで綺麗にすることが可能です。歯垢(プラーク)は、むし歯や歯周病の原因ですが、これをきれいに取り去ることはとても難しいことです。

歯石は誰にでもつき、歯肉を圧迫するなどして、歯周病を引き起こす原因の一つとなります。自分で取り除くことは困難ですので、定期的に歯医者さんに歯石を取り除いてもらいましょう。

フッ素塗布

フッ素の虫歯に対する予防効果は学術的にも認められているので、歯科医院でも積極的に使用されています。歯科医院専用のフッ素ジェルのフッ素濃度は、市販のフッ素入りの歯磨き粉よりフッ素含有濃度が高いため効果が出やすいです。フッ素を使用する目安は、3ヶ月に1回歯科医院でフッ素塗布を行い、毎日の歯磨きでフッ素入り歯磨き粉を使用していただくと虫歯予防効果が得られやすいです。

8020運動と定期検診の関係

「8020運動」をご存知でしょうか?

これは、80歳になっても20本以上の自分の歯を保とうという運動です。20本以上の歯があれば、食生活にほぼ支障をきたさないと言われています。しかし、60歳以上で平均14本の歯を喪失し、80歳では半数以上の人がすべての歯を喪失しているのが現状です。

歯の喪失の主な原因は、虫歯と歯周病です。これらは予防可能な疾患であり、定期検診によって早期発見・早期治療が可能です。定期検診を受けることで、虫歯や歯周病の進行を防ぎ、8020の達成率を高めることができるのです。

研究によると、80歳代の対象者を調査した結果、歯の残存数が多く、よく噛めている人は生存率や運動能力に優れ、転倒・認知症の危険性、医療費の減少に有意であることが明らかになっています。また、咀嚼能力の改善が、栄養摂取能力の改善を招くこと、認知症予防、嚥下機能の改善に有用であることも分かっています。

2025年から検討される国民皆歯科健診

2025年を目標に、国民全員が定期的に歯科健診を受けることを目指す「国民皆歯科健診」の制度導入が検討されています。

導入の背景と目的

国民皆歯科健診が検討される背景には、いくつかの重要な理由があります。まず、日本では歯科受診率が他国に比べて低く、特に定期的な歯科健診を受ける習慣が根付いていないのが現状です。乳幼児や学生においては歯科健診が義務付けられていますが、それ以外の国民の受診率が低く、全体的な歯科健診の普及が進んでいないことが課題となっています。

次に、国の医療費削減のためです。歯科疾患が進行してからの治療は高額になり、国の医療費を圧迫します。特に高齢化が進む日本では、歯科治療の負担が増加することが懸念されています。日本では歯周病の患者さんが多く、気づかないうちに進行していることも少なくありません。歯周病は、糖尿病や心疾患、脳血管障害などの疾患の発症リスクを高めると考えられています。そのため、歯周病の予防と治療が進むことで、歯科だけでなく、医科の医療費削減にも繋がると期待されています。

さらに、国民の健康寿命を延ばすためです。口腔の健康は全身の健康に密接に関わっており、歯周病などが糖尿病や心臓病などのリスクを高めることが知られています。歯科健診を定期的に受けることで、口腔内の健康が守られ、全身の健康を維持する助けとなります。

導入後の予想される変化

国民皆歯科健診の導入により、多くの人が定期的に歯科健診を受けるようになり、受診率が向上すると予想されます。その結果、虫歯や歯周病といった口腔内疾患が早期に発見され、適切な治療が行える機会が増加します。これにより、重症化を防ぎ、治療費や身体的負担の軽減が期待されます。

また、健診を通じて、歯科治療だけでなく予防の重要性が広く認識されるようになります。これにより、歯科医院が「問題が起きたときに行く場所」から「定期的に健康を維持するために通う場所」へと役割が変化します。日々のセルフケアや定期健診の必要性が浸透することで、虫歯や歯周病を未然に防ぐことができる社会が構築されるでしょう。

歯の健康は噛む力を維持し、栄養摂取を適切に行う上で欠かせません。健診によって歯を健康に保つことで、全身の健康が向上し、生活の質が改善されます。特に高齢者においては、歯の健康が認知症予防や運動能力の維持にも関係するとされています。健診制度の普及は、健康寿命を延ばし、活力ある長寿社会の実現に大きく貢献するでしょう。

企業における歯科健診の重要性

企業で働く方々にとっても、歯科健診は重要です。

公益財団法人ライオン歯科衛生研究所の調べでは、企業で健診活動や保健指導を行うことで歯科トラブルによる予定外休暇について効果が現れていることが明らかになっています。企業向け歯科保健活動の歯科健診プログラム導入前後の「予定外休暇」を比較したところ、企業で健診活動や保健指導を行い、口腔の健康への関心が高まることで歯科のトラブルによる「予定外休暇」が減り生産性の向上に結びついていることがわかりました。

口腔内の健康の保持・増進によって歯科のトラブルによる遅刻・早退が減り、口腔の健康への不安が少なくなることで、就業者の活力向上が期待できるのです。健康診断と同じく企業で年1回歯科健診を実施することは、口の中の健康を維持する大切さを知り健康意識の向上を図るきっかけになることや、口腔内の健康の保持・増進、生活の質の向上にも繋がります。

かさはら歯科医院の予防歯科への取り組み

当院では、予防歯科を重視しています。

虫歯や歯周病が進行してから治療を行うのではなく、予防をすることが大切です。良い状態で維持するためには歯科医院でのプロフェッショナルケアおよび改善点のご指導と、ご自身でのセルフケアが重要です。そのお手伝いをさせていただきます。

当院では、マイクロスコープを導入し、最大で肉眼の24倍もの高倍率で治療を行うことができます。保険診療、自由診療に関わらず、必要に応じてマイクロスコープを用いて、より精度の高い治療を患者様へ提供することが可能となります。また、歯科用デジタルパノラマ・CT X線装置により、低被曝、高解像度、3次元での診査により、さらに正確な診断が可能となります。

欧州基準のCLASS B/S滅菌器による徹底した感染予防も行っており、安心安全な滅菌物の提供を心がけています。患者様の口腔ケアを大事に、一生お付き合いいただけるホームドクターを目指しております。

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まとめ:定期検診で手に入れる健康な未来

定期検診を受ける人と受けない人では、将来の歯の残存数、全身の健康状態、そして生活の質に大きな差が生まれます。

3ヶ月に1回の定期検診を習慣化することで、虫歯や歯周病の早期発見・早期治療が可能になり、8020運動の達成率も高まります。また、歯周病の予防は糖尿病や心疾患などの全身疾患のリスク低減にもつながり、健康寿命の延伸に貢献します。

2025年から検討されている国民皆歯科健診の導入により、予防歯科の重要性はさらに高まっていくでしょう。「痛くなったら行く」のではなく、「健康を維持するために通う」という意識の転換が、あなたの未来の健康を大きく左右します。

まずは、3ヶ月に1回の定期検診から始めてみませんか?あなたの歯と全身の健康を守るために、今日から予防歯科を始めましょう。

詳しい定期検診の内容や予約については、かさはら歯科医院までお気軽にお問い合わせください。患者様一人ひとりに合わせた予防プログラムをご提案いたします。


監修医師

かさはら歯科医院 院長 笠原 洋史 

https://doctorsfile.jp/h/194172/df/1/

【経歴】

平成9年 日本歯科大学 新潟歯学部 卒業

医療法人慈皓会 波多野歯科医院 入職

平成10年 藤本研修会 補綴・咬合コース

平成12年 MAXIS implant institure Step by Step Course

平成14年 くれなゐ塾 20期セミナー

     スウェーデンにてインプラント研修

平成16年 厚生労働省臨床研修指導歯科医認定

平成17年 医療法人慈皓会 波多野歯科医院 退職

    かさはら歯科医院 開設

平成23年 JIADS研修会 Endoアドバンスコース

などその他多数受講

【所属学会】

顎咬合学会

デンタルコンセプト21