インプラントvsブリッジvs入れ歯|選ぶべき人の特徴と違い
歯を失ったときの選択肢〜インプラント・ブリッジ・入れ歯の基本
歯を失ったとき、どのような治療法を選ぶべきか迷われる方は少なくありません。失った歯の機能を回復するための選択肢として、インプラント・ブリッジ・入れ歯という3つの方法があります。それぞれには特徴があり、患者様の状態やご希望によって最適な治療法は異なります。
歯を失ったままにしておくと、噛み合わせの変化や顎の骨の痩せ、さらには見た目の問題など、様々な悪影響が生じます。最近の研究では、噛むことが脳の健康にも関わっていることが明らかになってきました。
長年インプラント治療に携わってきた経験から、患者様が納得のいく選択をするためには、それぞれの治療法の特徴と違いを正しく理解することが大切だと感じています。この記事では、インプラント・ブリッジ・入れ歯の違いを7つの観点から詳しく解説し、それぞれに向いている方の特徴をご紹介します。
インプラントとは?人工歯根で天然歯に近い機能を実現
インプラント治療は、歯が無くなったところの顎の骨に、チタン製の人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着する方法です。天然歯と同等の機能性と審美性を得られるのが最大の特徴です。
インプラントは「ノーベルガイドシステムDTX Studio™️Implantソフトウェア」などを用いた治療計画の立案と、X-ガイドを用いた「ダイナミック・ナビゲーションサージェリー」またはサージカルテンプレートを用いた「ガイデッド・サージェリー」による埋入手術により、より正確で安心・安全な治療が可能になっています。
インプラント治療の最大の特徴は、両隣の健康な歯を削る必要がないことです。また、顎の骨と直接結合するため、噛む力が分散され、骨の吸収も防ぐことができます。メンテナンスをしっかり行えば半永久的に使用できる点も大きなメリットです。
ただし、外科手術が必要なため、全身疾患をお持ちの方や骨の量が不足している場合は治療できないこともあります。また、保険適用外の自由診療となるため、費用面でのハードルが高いことも事実です。
インプラント治療の流れ
インプラント治療は一般的に以下のような流れで進みます。
- 初診・カウンセリング:お口の状態を診断し、治療計画を立てます
- CTスキャンによる精密検査:骨の状態や神経の位置を確認します
- インプラント埋入手術:局所麻酔下で人工歯根を埋め込みます
- 治癒期間:骨とインプラントが結合するまで3〜6ヶ月待ちます
- 上部構造装着:人工の歯を取り付けます
当院では、マイクロスコープや歯科用CTなどの最新設備を導入し、より精密で安全なインプラント治療を提供しています。また、治療前のカウンセリングを丁寧に行い、患者様のご不安を解消した上で治療を進めることを心がけています。

ブリッジとは?両隣の歯を支えにした固定式の治療
ブリッジ治療は、失った歯の両隣にある歯を削り、それを土台として人工の歯を固定する方法です。ブリッジという名前の通り、失った歯の部分に「橋」をかけるイメージです。
ブリッジの大きな特徴は、外科手術が不要で、比較的短期間で治療が完了することです。また、基本的に保険適用となるため、経済的な負担が少ない点も利点です。固定式なので、入れ歯のような違和感も少なく、天然歯に近い噛み心地が得られます。
しかし、健康な歯を削る必要があるため、将来的にその歯に負担がかかり、虫歯や歯周病のリスクが高まることは否めません。また、ブリッジの下の部分は清掃が難しく、歯周病のリスクも高まります。
長期的な視点で見ると、ブリッジの寿命は7〜8年程度と言われており、インプラントに比べると短いのが現状です。また、歯の無い部分の骨が徐々に痩せていくため、長期的には見た目や機能面での問題が生じることもあります。
ブリッジ治療の流れ
ブリッジ治療は一般的に以下のような流れで進みます。
- 診断・治療計画:お口の状態を診断し、ブリッジの設計を行います
- 支台歯形成:両隣の歯を削り、ブリッジの土台を作ります
- 型取り:精密な型を取り、技工所でブリッジを製作します
- 仮歯装着:本物のブリッジができるまでの間、仮の歯を装着します
- ブリッジ装着:完成したブリッジを装着し、調整を行います
ブリッジ治療は、インプラントに比べて短期間で完了し、手術の必要がないため、体への負担が少ないという利点があります。ただし、健康な歯を削ることになるため、その点は十分に考慮する必要があります。
入れ歯とは?取り外し可能な義歯による治療
入れ歯(義歯)は、失った歯の機能を回復するための取り外し可能な装置です。部分入れ歯と総入れ歯の2種類があり、部分入れ歯は残っている歯に金属のバネ(クラスプ)をかけて固定します。総入れ歯は、歯がすべて失われた場合に使用します。
入れ歯の最大のメリットは、外科手術が不要で、高齢の方や全身疾患をお持ちの方でも治療が可能なことです。また、基本的に保険適用となるため、経済的な負担が少ないのも大きな利点です。さらに、治療期間も比較的短く、早期に歯の機能を回復できます。
しかし、取り外し式であるため、装着時の違和感や、発音・咀嚼機能の低下が避けられません。特に咀嚼能力は天然歯の30%程度にとどまるとされています。また、金属のバネが見えるため、審美性に劣る点も欠点です。
最近では、金属のバネが見えない審美的な入れ歯や、より安定性の高い入れ歯なども開発されていますが、これらは保険適用外となることが多いです。
入れ歯治療の流れ
入れ歯治療は一般的に以下のような流れで進みます。
- 診断・治療計画:お口の状態を診断し、入れ歯の設計を行います
- 型取り:精密な型を取り、技工所で入れ歯を製作します
- 試適:仮の入れ歯で形や噛み合わせを確認します
- 入れ歯装着:完成した入れ歯を装着し、調整を行います
- 定期的な調整:お口の状態の変化に合わせて調整を行います
入れ歯は経年的に顎の骨が痩せていくため、定期的な調整やリライニング(裏打ち)が必要になります。また、入れ歯自体も7〜8年程度で交換が必要となることが多いです。
7つの観点から見るインプラント・ブリッジ・入れ歯の違い
それでは、インプラント・ブリッジ・入れ歯の違いを7つの観点から詳しく比較してみましょう。
1. 施術方法の違い
インプラントは外科手術が必要ですが、両隣の歯を削る必要はありません。ブリッジは外科手術は不要ですが、両隣の健康な歯を削る必要があります。入れ歯は外科手術も歯を削ることも基本的には不要です。
手術に対する不安や、健康な歯を削ることへの抵抗感は、治療法を選ぶ上で重要な要素となります。
2. 審美性の違い
審美性ではインプラントが最も優れており、天然歯とほぼ同じ見た目を実現できます。ブリッジも比較的審美性に優れていますが、保険適用の素材では天然歯との色の違いが目立つことがあります。入れ歯は金属のバネが見えるため、審美性では劣ります。
笑ったときに金属が見えることに抵抗がある方は、インプラントや審美性の高いブリッジを選ばれることが多いです。
3. 機能面の違い
咀嚼機能ではインプラントが最も優れており、天然歯の80〜100%の機能を発揮します。ブリッジも比較的機能は良好で、天然歯の60〜100%程度とされています。一方、入れ歯は天然歯の20〜30%程度の咀嚼能力にとどまることが多いです。
硬いものをしっかり噛みたい方には、インプラントやブリッジが向いています。
4. 健康面への影響
インプラントは顎の骨の吸収を防ぎ、両隣の歯への負担もありません。ブリッジは両隣の歯に負担がかかり、将来的に問題が生じるリスクがあります。入れ歯は顎の骨が徐々に痩せていき、残存歯への負担もあります。
最近の研究では、入れ歯などの歯科補綴物を継続して使用していた高齢者は、使用していなかった高齢者と比べて死亡リスクが低いことが明らかになっています。特に歯が20本未満の人では、補綴物使用者の生存率が5.9ポイント高いという結果が出ています。
長期的な口腔の健康を考えると、インプラントが最も優れていると言えるでしょう。
5. 寿命の違い
インプラントの10年生存率は90%以上と非常に高く、メンテナンスをしっかり行えば半永久的に使用できます。ブリッジと入れ歯の寿命は一般的に7〜8年程度とされており、定期的な交換が必要になることが多いです。
長期的なコストを考えると、初期費用は高くても、インプラントが結果的に経済的になるケースもあります。
6. 治療期間の違い
インプラント治療は、骨との結合を待つ期間が必要なため、最短でも2〜3ヶ月、場合によっては半年以上かかることもあります。ブリッジと入れ歯は比較的短期間で完了し、2〜3週間程度で機能回復が可能です。
早期に歯の機能を回復したい方には、ブリッジや入れ歯が向いています。
7. 費用面の違い
インプラントは保険適用外の自由診療となるため、1本あたり30〜40万円程度の費用がかかります。ブリッジと入れ歯は基本的に保険適用となり、数万円程度で治療が可能です(素材や設計によっては保険適用外となることもあります)。
初期費用を重視する場合は、ブリッジや入れ歯が選択肢となります。

それぞれの治療法に向いている人の特徴
それぞれの治療法に向いている方の特徴をご紹介します。
インプラントがおすすめの人
- 長期的な口腔の健康を重視する方
- 天然歯と同等の見た目と機能を求める方
- 健康な歯を削ることに抵抗がある方
- しっかりと噛める歯を希望する方
- 初期費用よりも長期的な満足度を重視する方
インプラント治療は、外科手術が必要なため、全身疾患をお持ちの方や骨の量が不足している方には適さない場合があります。また、喫煙者は成功率が低下するため、禁煙が推奨されます。
ブリッジがおすすめの人
- 外科手術を避けたい方
- 比較的短期間で治療を完了したい方
- 初期費用を抑えたい方
- 固定式の安定した噛み心地を求める方
- 両隣の歯が既に大きく削れている、または被せ物がある方
ブリッジは、失った歯の両隣に健康な歯がある場合に適応となります。両隣の歯の状態が悪い場合や、連続して複数の歯が失われている場合は適応外となることがあります。
入れ歯がおすすめの人
- 外科手術を避けたい方
- 健康な歯を削ることに抵抗がある方
- 初期費用を抑えたい方
- 複数の歯が連続して失われている方
- 高齢の方や全身疾患をお持ちの方
入れ歯は、特に制約なく多くの方に適応可能な治療法です。ただし、違和感や機能面での制約があることを理解した上で選択することが大切です。
まとめ:あなたに最適な治療法を見つけるために
インプラント・ブリッジ・入れ歯、それぞれの治療法には長所と短所があります。どの治療法を選ぶかは、患者様のお口の状態、全身の健康状態、ライフスタイル、経済的な事情など、様々な要素を考慮して決める必要があります。
当院では、患者様お一人お一人に最低30分の診療時間を設け、しっかりとカウンセリングを行った上で、最適な治療法をご提案しています。インプラント治療においては、「ノーベルガイドシステム」や「X-ガイド」を用いた最新の技術を導入し、より安全で正確な治療を提供しています。
歯を失ったままにしておくと、噛み合わせの変化や顎の骨の痩せ、さらには全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。早めに適切な治療を受けることで、快適な生活を取り戻しましょう。
あなたの口腔ケアを大事に、一生お付き合いいただけるホームドクターを目指している当院にぜひご相談ください。
かさはら歯科医院では、インプラント治療をはじめ、マイクロスコープ治療、矯正治療、一般歯科、歯周病治療など、幅広い診療を行っております。お気軽にお問い合わせください。
監修医師
かさはら歯科医院 院長 笠原 洋史
https://doctorsfile.jp/h/194172/df/1/

【経歴】
平成9年 日本歯科大学 新潟歯学部 卒業
医療法人慈皓会 波多野歯科医院 入職
平成10年 藤本研修会 補綴・咬合コース
平成12年 MAXIS implant institure Step by Step Course
平成14年 くれなゐ塾 20期セミナー
スウェーデンにてインプラント研修
平成16年 厚生労働省臨床研修指導歯科医認定
平成17年 医療法人慈皓会 波多野歯科医院 退職
かさはら歯科医院 開設
平成23年 JIADS研修会 Endoアドバンスコース
などその他多数受講
【所属学会】
顎咬合学会
デンタルコンセプト21
