予防歯科の重要性とは|虫歯・歯周病を防ぐ最新メンテナンス方法を徹底解説
予防歯科とは何か
「歯が痛くなってから歯医者に行く」という考え方は、もう過去のものです。
予防歯科とは、虫歯や歯周病などの口腔トラブルが発生する前に、積極的に予防するための歯科医療の考え方を指します。痛みが出てから治療するのではなく、痛みが出ないように日頃からケアを行い、健康な歯を維持することが目的です。歯科医院でのプロフェッショナルケアと、ご自宅でのセルフケアの両輪を回すことで、虫歯や歯周病の発症リスクを大幅に軽減できることが、数多くの研究で証明されています。
私が長年診療を行ってきた中で実感するのは、予防に力を入れている患者様ほど、将来的に歯を失うリスクが低いということです。治療を繰り返すたびに歯の寿命は確実に縮んでいきます。だからこそ、「治す」のではなく「守る」という発想が重要なのです。

予防歯科の重要性
予防歯科には、単に虫歯や歯周病を防ぐだけではない、多くのメリットがあります。
歯の健康を維持し、生涯自分の歯で過ごせる
虫歯や歯周病が進行すると、治療に時間と費用がかかるだけでなく、痛みや不快感を伴います。
それに対して、予防歯科によって口腔内の健康を維持することで、歯を失うことなく長期的に健康な口腔を保つことができます。スウェーデンの研究では、30年間にわたり定期的な予防プログラムを受けた人々が、新たにできた虫歯の数が平均1〜2本にとどまったという驚くべき結果が報告されています。正しいセルフケアと定期的なプロのケアを継続するだけで、これほどまでに大きな差が生まれるのです。
全身の健康を守る
歯周病などの口腔内の病気は、全身の健康にも影響を与える可能性があります。歯周病菌が血液中に入り込んで、心臓病や糖尿病、脳卒中などの生活習慣病を引き起こすリスクが高まることが明らかになってきました。口腔内の健康を維持することは、全身の健康を守ることにもつながるのです。
経済的負担を軽減する
虫歯や歯周病の治療は、進行すればするほど治療にかかる時間や費用が増大します。予防歯科によって虫歯や歯周病を未然に防ぐことで、将来的な経済的負担を大幅に減らすことができます。「予防は治療に勝る」という言葉は、経済的な側面からも真実なのです。
予防歯科の基本的なセルフケア方法
予防歯科の成功には、毎日のセルフケアが欠かせません。
正しい歯磨きの方法
歯磨きは朝晩2回行うことが望ましいです。
歯ブラシの毛先を歯と歯茎の境目にあて、45度の角度で優しく当てます。歯の表面を丁寧に磨き、歯と歯の隙間にも歯ブラシを入れることが大切です。歯磨き粉はフッ素入りのものを使用し、量は豆粒程度で十分です。力を入れすぎると歯茎を傷つけてしまうため、優しく丁寧に磨くことを心がけましょう。
デンタルフロスと歯間ブラシの活用
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の歯垢を完全に取り除くことはできません。デンタルフロスやマウスウォッシュを使って、歯と歯の間や歯と歯茎の間の歯垢を取り除くことが重要です。特に就寝前のフロスは、夜間の細菌繁殖を抑える効果があります。
食生活の見直し
栄養バランスの良い食生活は、歯の健康を保つために大切です。甘いものや飲み物を過剰に摂取すると、歯につく歯垢が増え、虫歯や歯周病の原因となります。また、食事後にはできるだけ早めに歯を磨くか、少なくとも口をすすぐようにしましょう。ビタミンCやカルシウムなど、歯や歯周組織を強化する栄養素を積極的に摂取することもおすすめです。
正しい噛み合わせの維持
正しい噛み合わせは、歯の健康を保つためにも重要です。歯並びや噛み合わせに問題がある場合には、矯正治療を受けることで改善することができます。当院では矯正専門医が患者様のニーズやお口の状態に合わせた治療方法を選択し、お子様から大人の方まで対応しています。

歯科医院でのプロフェッショナルケア
セルフケアだけでは限界があります。
歯科医院での専門的なケアを定期的に受けることで、セルフケアでは取り除けない汚れや歯石を除去し、口腔内を清潔な状態に保つことができます。
PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)
PMTCとは、歯科医師や歯科衛生士が専門的な器具とフッ素化合物が配合された研磨ペーストを用いて、歯の表面の汚れを徹底的に除去するクリーニング方法です。
ブラッシングやフロスで取り切れない歯垢や着色汚れを、特殊な器具を使って徹底的に取り除くことができます。また、歯周ポケット内にたまった歯垢を取り除くこともできるため、歯周病の予防や進行の抑制にも効果があります。当院では保険診療、自由診療に関わらず、必要に応じてマイクロスコープを用いて、より精度の高い治療を患者様へ提供することが可能です。
フッ素塗布による歯質強化
フッ素塗布は、歯科医院で行われる予防処置の一つで、フッ素を歯の表面に塗布することで虫歯予防効果を高める方法です。フッ素は、歯の表面に付着している菌の代謝産物である酸を抑える作用があり、また歯質を強化する働きがあるため、虫歯の発生を防止する効果が期待できます。一般的には年に1回以上の頻度で行われ、特に虫歯になりやすいお子様や高齢者に効果的です。
定期検診の重要性
定期検診では、口腔内検査やレントゲン撮影を通じて、自覚症状がない段階での病変を早期に発見できます。
虫歯も歯周病も細菌感染症であると同時に、治療を終えても生活習慣を改善しなければ再発しやすい生活習慣病の一つです。高血圧症や糖尿病と同じように、虫歯も歯周病も予防できる病気なのです。当院では、2〜6ヶ月の間でその方のお口の状態に合わせて期間を決め、定期検診をお勧めしています。

当院の予防歯科への取り組み
かさはら歯科医院では、予防歯科を重視した診療を行っています。
マイクロスコープによる精密診療
当院では、最大で肉眼の24倍もの高倍率で治療を行うことができるマイクロスコープを導入しています。保険診療、自由診療に関わらず、必要に応じてマイクロスコープを用いることで、より精度の高い治療を患者様へ提供することが可能です。目では見えない細部まで確認できるため、虫歯の取り残しを防ぎ、必要最小限の切削で済みます。
一人ひとりに合わせた診療時間
当院は、患者様お一人に最低30分の診療時間を設けています。
患者様のお困りの事や痛み、違和感をよくお話いただき、様々なアドバイスやご提案、ご理解をいただいてから治療を行うというインフォームド・コンセントを大切にしています。予防歯科では、患者様とのコミュニケーションが非常に重要です。お口の状態を丁寧に説明し、最適なケア方法をご提案させていただきます。
徹底した感染予防対策
当院では、欧州基準のCLASS B/S滅菌器を導入し、徹底した感染予防を行っています。歯科の一般的な滅菌よりも厳密な滅菌が可能となり、安心安全な滅菌物を患者様に提供しています。予防歯科では清潔な環境が不可欠であり、当院は設備面でも最高水準を目指しています。
まとめ
予防歯科は、虫歯や歯周病を未然に防ぎ、生涯にわたって健康な歯を維持するための最も効果的なアプローチです。
正しいセルフケアと定期的なプロフェッショナルケアを組み合わせることで、歯を失うリスクを大幅に減らすことができます。また、口腔内の健康は全身の健康とも密接に関わっており、予防歯科は単に歯を守るだけでなく、全身の健康を守ることにもつながります。経済的な負担も軽減できるため、予防歯科は未来への投資と言えるでしょう。
私が診療理念として大切にしている「樽一杯のワインに一滴の泥水を入れれば、それは樽一杯の泥水になる」という言葉のように、基本を大切に疎かにせず、常に自身の研鑽を忘れず発展させていくことが、患者様の大切な一本の歯を守ることにつながると考えています。
予防歯科について詳しく知りたい方、定期検診をご希望の方は、ぜひお気軽にご相談ください。詳細はこちら:かさはら歯科医院
監修医師
かさはら歯科医院 院長 笠原 洋史
https://doctorsfile.jp/h/194172/df/1/

【経歴】
平成9年 日本歯科大学 新潟歯学部 卒業
医療法人慈皓会 波多野歯科医院 入職
平成10年 藤本研修会 補綴・咬合コース
平成12年 MAXIS implant institure Step by Step Course
平成14年 くれなゐ塾 20期セミナー
スウェーデンにてインプラント研修
平成16年 厚生労働省臨床研修指導歯科医認定
平成17年 医療法人慈皓会 波多野歯科医院 退職
かさはら歯科医院 開設
平成23年 JIADS研修会 Endoアドバンスコース
などその他多数受講
【所属学会】
顎咬合学会
デンタルコンセプト21
